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がよいことが分かった。

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図−5 各支持力公式と実験結果の比較

Fig-5. Comparison between bearing capacity formulae and test results

(3)滑動抵抗力
現地水平載荷試験および遠心載荷実験の併用によると、極限状態における短杭の横抵抗力はBromsの方法がよく適合する。また、短杭のうち前列側(港外側)には引き抜き力が作用するため、設計においては後列の抵抗だけを期待することとし、極限状態においては杭による抵抗力が主となると考えられるため、設計では堤体底面と地盤との付着力を抵抗として見込まないこととした。
(4)繰返し載荷試験
波浪の繰返し載荷による堤体底面の粘性土地盤の強度低下を調べるため、繰返し三軸試験(周期5秒)と静的三軸試験(ひずみ速度1%min)を行った。図−6はこれら2種類の三軸試験における強度比と繰返し三軸試験での発生両振幅ひずみの関係を示したものであるこの結果より、繰返し載荷による強度低下として3割程度見込む必要がある

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図−6 強度比Rと発生両振幅軸ひずみの関係

Fig-6. Relationship between strength ratio R and double axial strain amplitude

(5)堤体据付後の検討
堤体据付後の主な検討項目は、堤体の沈下、圧密による地盤の強度増加、堤体周辺地盤の洗掘、据付地盤の不陸があげられる。沈下および圧密による強度増加は現地実証試験より堤体据付後500日でそれぞれ30〜40cm、50%程度となった。洗掘対策は現地試験の結果より、アスファルトマットを敷設した場合が洗掘量が小さく地盤形状も安定していることから本工事に採用した。海底地盤の不陸については、カッティング、敷砂等により10cm以下とすることとした。
3−3. 設計・施工
熊本港南防波堤の基本設計断面を図−7に示す。なお、短杭がBromsの式による極限抵抗力を発揮するためには杭頭の剛結が必要とされるため、堤体底版にテーパー状の鋼材料を埋め込み、この中に杭頭部にくさびを取り付けたH型鋼を打ち込むくさび案を採用した。
軟着堤の施工は昭和62年度から開始され、平成7年度までに全長2,800mのうち1,447m(52%)が完成している。
また、経済性については地盤改良を要する従来型の重力式防波堤と比較して、1/5〜1/7と大幅な工費の縮減と、工期が約1/4という大幅な工期の短縮が実現した。
さらに、今後予定されている沖合のより地盤条件の悪い工事に対応するため、平成2年度に底版から打設された杭を長くするとともに剛性を低くした長杭式軟着堤の現地静的水平載荷試験および繰返し載荷試験等を実施した。長杭式軟着堤は水平外力に対して前後2列の杭が均一に抵抗し、底版の傾斜が小さくなることなどより安定した抵抗特性を示した。また、繰返し荷重が作用することにより杭周辺および堤体直下の地盤が劣化することなどが確認されている。

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図−7 軟着堤の基本設計断面

Fig-7. Basic design cross scction of the soft ground dike

 

 

 

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